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幻竜の羅刹

幻竜の羅刹

クリスマスの夜 4

朝起きると隣には咲夜が寝息を立てている 夜遅くに帰ってきたんだろう

起こさないように慎重にベットから出て、キッチンへと向かい適当に朝食をつくる

「今日は咲夜は仕事休みなんだろうなあ。昨日は大変だったんだな」と呟きながらも朝食を口へと運ぶ

そうして着替え、仕事へ行く準備をすると寝室へ行き、寝息を立てる咲夜の唇に自分のそれを重ねた

「じゃ、行ってくるよ」と小さい声で言い放ち、仕事へ向かった

仕事場につくと、いつもの朝の静けさと違い騒がしい感じがする

近くの先輩に声をかける

「あの、内川先輩。何かいつもより騒がしいですけど何かあったんですか?」

「おお、中川(流星の苗字)か。昨日な、おまえの隣の斉藤(幸樹の苗字)が交通事故に遭って亡くなったんだよ」と言う

「なっ!?」 流星は驚いた。そしてあることを思い出した

昨日幸樹のスケジュールが23時37分で途切れていたこと

「先輩!!死亡推定時刻ってわかりますか?」と聞く

「え?確か…23時30分くらいだったらしいけどね」という

そして確信した スケジュールが途中で途切れているという事はその時間に死ぬということだった

流星はなぜこんなことに気づかなかったんだろうという後悔の気持ちでいっぱいになり涙が止まらなかった

こんな能力さえなけりゃ少しは辛い思いは消えるのにと思った

仕事をしているときに隣にいた幸樹はもういなくて机には何ものっておらず寂しさが漂っていた

そして、悲しい気持ちに満ちたまま時間は経ち、仕事を終えた

家への帰り道、どこからとも無く声がした

「能力によって悲しくなることだってあるだろう。だが、それによって助けられる命もあると言うことだ。それを忘れるな」

すこし先にある電灯にあの日の男が見える

「なぜだ!!なぜ俺に詳しい事を教えなかった!!」と言い電灯にいる男の元に駆け寄ったと思うと男はもう1つ先の電灯に立っていた

「能力ってのは自分で気づくのだ。おまえは昨日のことで大事なことを知った。恐れるな。愛しい人、大事な人を守るために使うがいい。それがおまえの使う最高の道なのかも知れぬ」

「だから待てよ!!」すると空へと消えていった

「今を行きぬく若者よ。良かれと思うことを選ぶがよい。それがおまえの道なのだ」と言葉を残して…


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